| 土工構造物の1つである道路擁壁は、道路土工-擁壁工指針1)に基づいて設計されており、現在の設計は安定性を照査する設計体系となっている。しかし、国際的にも性能規定型設計への移行が指向されている中、道路土工指針についても性能規定型耐震設計法への改訂が検討されているところである。 道路擁壁の目的は、背面の土砂の崩壊を防ぎ、外力及び擁壁自重を安全に地盤に伝え、道路の所定の機能を確保することである。現行設計法では切土部に設置される道路擁壁も盛土部に設置される道路擁壁も同じ安全率を満足することが求められているが、切土部と盛土部では要求される性能水準が異なることも考えられる。例えば、切土部擁壁における道路交通に支障がある変形とは、擁壁の前面への大幅な滑動や擁壁本体の傾斜やクラック等による耐力の低下である。これに対して盛土部擁壁における道路交通に支障がある変形とは、道路面の大きな沈下・陥没が生じるような滑動や擁壁本体の傾斜となる。このため、切土部と盛土部では、要求性能を満足するための許容変位量が異なり、それを設計上考慮するためには擁壁の地震時残留変位量を適切に求める必要がある。 本研究では、道路擁壁として求められる要求性能を試行的に示し、性能規定型耐震設計法で必要となる地震時残留変位量の解析手法を紹介するとともに、遠心力載荷振動実験結果と計算結果の整合性を示す。さらに、地震時残留変位量に基づく性能規定型耐震設計法を取り入れた場合と従来設計法とを比較した結果についても紹介する。 |