| フィルダムや堤防など、土などの地盤材料を用いて構造物を設計する際には、材料の引張強度は無視することが一般的である。その理由は、地盤材料の引張強度が圧縮強度に比べて非常に小さいこと、地盤材料の引張強度を測定することが容易ではないこと、などが考えられる。しかし、堤防などの盛土の施工中や斜面掘削時の斜面崩壊、あるいは地盤材料の水圧破砕などにおいては、引張による亀裂の発生がそれらの現象の一因となっているものと考えられており、亀裂の発生や進展を精度よく把握するためには、地盤材料の引張強度を評価することが重要であると考えられている。また、大規模地震時におけるフィルダムの耐震性能照査におけるアースダム提体やロックフィルダムのコア内、あるいはアースダムやロックフィルダムのコアとコンクリート構造物などとの接合部における局所破壊の評価には、引張強度の評価が重要となる。これまで筆者らは、現在建設中のロックフィルダムのコア材料を用いて割裂引張試験を実施し、その締固め度や最大粒径などの条件が割裂引張強度に与える影響について検討を行ってきた。しかし、引張あるいはせん断によりコアに一度発生した亀裂や損傷が、その後の圧密により、どのように強度や変形性が変化するのかについては検討は行われてなく、これを知ることは、大規模地震時におけるフィルダムの耐震性能照査、あるいは亀裂、損傷発生後の進行性破壊に対する評価をするうえで、非常に重要であると考えている。そこで、ここでは、一度せん断や引張などにより損傷を受けた地盤材料が再圧密によりどの程度強度が回復するかを検討するため、引張あるいはせん断による損傷や亀裂を模擬した亀裂を形成した供試体を作製し、その供試体を圧密して亀裂を再付着させた後、再付着部の割裂引張強度についての試験を行った。 |