| "近年,水需要の停滞等により治水専用ダムが増加しつつある.また,治水専用ダムでは常時に水を貯留する必要がないことから,放流設備を河床に近い標高に設置することで,常時には土砂を下流に流し,水棲生物も上下流への移動ができ,ダム上下流の河川環境をダム建設前に近い状態とすることが可能である.このように堆砂対策や環境保全における利点からも治水専用ダムが注目されつつある.しかしながら,常時に貯水しない治水専用ダムの放流設備では流木による閉塞が懸念される.常時の貯水を行うダムでは,網場と呼ばれるフロートとネット等で構成された流木止めをダム上流貯水池に浮かべて設置することによって,ダムの放流設備への流木の進入を防ぐことができる.一方,治水専用ダムでは,ダム上流に水面がないため,上述のようなタイプの流木止めは損傷や土砂による埋没等の問題があり設置することは難しい.このため流下してきた流木の多くがダムまで到達することになり,これによって放流設備が閉塞される可能性がある.放流設備が閉塞された場合は,洪水の過剰な貯留により計画規模以下の流入量で洪水調節ができなくなる,或いは,閉塞していた流木が何らかの要因で突然流下することによって,下流への放流量が急激に増大して下流域の安全を脅かすなどの問題を生じることになる.常用洪水吐きの流木対策としては,これまで吐口部断面積が2m×2m以下の小規模な場合に,流木等による閉塞を防ぐために呑口全体を覆うスクリーンが設置されてきている1).また,防災・砂防の分野では,流木による被害の機構2),3)や砂防ダムによる流木の捕捉効果4),5)に着目した研究が行われてきている.しかしながら,土砂を積極的に流下させる治水専用ダムの大規模な放流設備のための流木対策は確立されていないのが現状である.そこで本研究では,大量の流木の流下によって大規模放流設備の放流能力が影響を受けないようにするための流木対策を開発することを目的として水理模型実験により検討を行った.なお,今回はゲートレスの自然調節式の放流設備を対象としている" |