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論文投稿 安定同位体比を用いた千曲川における流域土地利用特性と河川生態系の変化

作成年度 2005 年度
論文名 安定同位体比を用いた千曲川における流域土地利用特性と河川生態系の変化
論文名(和訳)
論文副題
発表会
誌名 第70回日本陸水学会講演要旨集
巻・号・回
発表年月日 2005/09/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
河川生態チーム對馬孝治 天野邦彦 傳田正利 時岡利和 福永八千代 平林公男
抄録
"河川生態系は流域からの負荷に大きく依存しているため、物質循環を通じて流域土地利用から大きな影響を受けていることが指摘されている。本研究では炭素及び窒素の安定同位体比を用いて流域土地利用と河川生態系の関係を明らかにすることを目的とした。調査対象流域は長野県東部の千曲川とし、河川生態系の主要な構成要素として、河川水の硝酸態窒素と懸濁物、河床の付着性藻類を含む付着生物群集、底生動物群集の優占種の一つであるヒゲナガカワトビケラ(Stenopsyche marmorata Navas)の幼虫を対象とした。河川水と河床礫面の付着物の採取は、2004年3月と4月に千曲川支流の一つである西川の源流部から千曲川中流部の鼠橋(長野県坂城町)まで、およそ100kmの区間中9地点で行い、4月の調査では、この内の4地点(地点1~4)でヒゲナガカワトビケラ幼虫を採取した。任意の地点における流域の特定及び土地利用の集計には、国土地理院発行の数値地図50mメッシュ(標高)と1/10細密土地利用メッシュを用い、GISソフトウェア(Arc View 8.3, ESRI)で解析した。ヒゲナガカワトビケラ5齢幼虫の炭素及び窒素の安定同位体比から、4つの調査地点は、3グループに分類することができた(図.1)。最上流の地点(地点1)では炭素と窒素の安定同位体比は共に低く(-28.3±0.3‰、+4.8±0.3‰)、地点2では高い炭素安定同位体比と低い窒素安定同位体比を示し(-16.7±0.8‰、+5.8±0.4‰)、地点3と4では炭素と窒素共に高い安定同位体比(-16.7±0.5‰、+11.4±0.3‰; -15.7±0.6‰、+9.2±0.3‰)であった。炭素安定同位体比の結果から、地点1のヒゲナガカワトビケラ5齢幼虫は陸上植物に炭素源を依存し、地点2~4では河川内部で生産された藻類に多くの炭素源を依存していたと考えられた。地点2から下流では高い窒素安定同位体比を持つ人間活動由来の窒素負荷による影響が見られたと考えられた。河川生態系へ供給される炭素の起源として、陸上植物と水生藻類の炭素安定同位体比の値を-27‰及び-12‰と仮定した。さらに水生藻類(河川の内部生産)に利用される窒素源として、河川への主要な窒素負荷の市街地由来の生活雑排水と農地由来の肥料の値を+15‰と±0‰と仮定した。この仮定に基づき、懸濁物及びヒゲナガカワトビケラ5齢幼虫への有機物源を陸上植物、肥料を窒素源とする水生藻類、生活雑排水を窒素源とする水生藻類に分類してそれぞれの寄与率を見積もった。懸濁物への河川内部生産の寄与率は、地点2で41%、地点3で46%と流下に伴う増加(10kmあたり約1.5%)を示した。仮定による算出から、河川内部生産を経由する生活雑排水による寄与は、懸濁物において地点2の0%から地点3の27%へと増加していたと見積もられ、ヒゲナガカワトビケラ5齢幼虫では8%から52%へと増加していた。生活排水によるヒゲナガカワトビケラ5齢幼虫への寄与率は懸濁物よりも大きかった。流域面積は地点2で696km2、地点3で1341km2であり、流域土地利用に占める市街地の面積比は、地点2の1.0%から地点3の2.8%へと増加していた。本研究から、流域の市街地面積の増加などによる窒素負荷の増加によって、河川生態系は大きく影響を受け、外部生産の依存度が減少し、内部生産も下流ほど窒素負荷に影響されていたことが示唆された。さらにヒゲナガカワトビケラ5齢幼虫は懸濁物を介して生活排水の影響をより強く受けていることが明らかになった。"
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