| "既設ダムに放流管を増設する場合、設置する放流管より大きな開口部を設け、放流管設置後、既設ダム堤体には堤体自重および水圧荷重による応力が発生した状態で、放流管と開口部の空隙がコンクリートにより充填される。このような施工手順を考慮した検討の結果、現行設計法で考慮する地震力(震度法でk=0.15を想定)においては、充填コンクリートに配置される鉄筋に設計で期待するほどの引張力は発生せず、その補強効果は小さいことがわかっている。一方、近年、大規模地震に対するダムの耐震性能の確保が重要視されてきていることから、本研究では、上記の地震荷重よりも大きな地震荷重が作用することを想定し、鉄筋の補強効果を検討したものである。本検討により得られた知見は以下の通りである。(1) 大規模地震を想定した場合、放流管周辺に配置した鉄筋はその補強効果を発揮し、鉄筋量の増加に伴い、この補強効果も増大する傾向にある。ただし、鉄筋量がある一定以上となると補強効果の伸びは期待できない。(2) 放流管を増設した堤体が、放流管の無い堤体と同程度の強さを有するための鉄筋量を必要最小限の鉄筋量と考えれば、現行設計法での鉄筋量を2~3割削減できる可能性がある。ただし、鉄筋量の削減にあたっては、各ダムの諸条件を考慮したうえで、応力照査等を入念に行う必要がある。(3) 貯水が無く地震慣性力が上流向きに作用し、かつ鉄筋が無い場合でも、上流側に発生する放流管周辺の鉛直ひび割れが堤体の安定性に与える影響は小さい。" |