| 下水処理施設におけるコンクリート構造物は,微生物によって生成される硫酸により徐々に腐食劣化する。今日では下水環境における防食指針類が整備されたことも一因となって,新設構造物の防食性能については以前に比べ大幅に改善されつつある。しかしながら,過去に建設された施設の多くは環境に適した十分な防食性能を有しておらず,施設の機能維持を脅かすようなコンクリート腐食劣化事例が顕在化してきた。これらの劣化事例は主に戦前に敷設された管きょが中心であるが,今後10年もしないうちに,高度成長期以降に整備された大量の施設が老朽化してくるものと考えられており,下水道事業では既設構造物の維持管理,とりわけ補修技術の重要性が益々高まってきている。純チタンは,その比重が鋼材の約60%と軽量で取扱い易く,耐食性や成形・加工性に優れている。また,金属材料ゆえに耐損耗性,耐衝撃性が高く,リサイクルも可能な材料である。薄板に加工すれば,構造物の形状に合わせた被覆が容易になるため,最近では海洋環境における鋼材の防食被覆などへも適用されつつある。そこで本研究では,下水処理施設のコンクリート構造物を対象とした,効率的かつ経済的な補修技術の確立を目標とし,チタンを防食被覆材料として用いた新しいライニング工法の開発に取り組んだ。本報では開発した工法について,既存の規格類に準拠して行った性能評価試験の結果と,霞ヶ浦浄化センターで行った試験施工の結果について報告する。 |