| 河川・ダム施設は洪水調節や灌漑用水・飲料水の確保並びに発電など,国民の生命や財産の保全に欠かせない施設である.これらの多くには鋼材が使用されており,複雑な構造をした多くの部材で構成されているものが多い.これらの設備は水と接していることが多く,厳しい腐食環境にあるものが多い上に,その維持管理は雪解けや洪水期には行えないなど,実施可能な期間が限られていることも多い.このような背景から,河川・ダム施設の機能を長期にわたって維持していくためには,効果的な防食対策が必要不可欠である.今日,河川・ダム施設の防食は主に塗装により行われている.塗装は一般的に1次プライマー,下塗り,中塗り,上塗りで構成されており,さらに素地調整方法や塗装方法等も加えると,その組み合わせは実に多種多様なものとなる.塗装による防食対策を効果的なものにするためには,適用先の腐食環境や使用条件等を考慮し,防食性,耐候性,美観,経済性などの観点から最適な仕様(組合せ)を選択すべきである.しかしながら,その選択のよりどころとなる各種塗料の河川環境における防食性・耐久性に関するデータは,海洋環境におけるそれと比べて不足しているのが現状である.そこで本研究では,優れた防食性あるいは施工性を発揮するものと期待される塗装系を対象に,江戸川河口堰下流における暴露試験を実施し,それらの河川環境における防食性や長期耐久性について比較検討している.本報では,暴露開始からおよそ10年経過後の追跡調査結果について報告する. |