| 地すべり斜面の防災問題や掘割構造等の土留め壁の安定を図る上で、グラウンドアンカー工法は最も一般的な安定対策工法の一つである。グラウンドアンカー工法は、削孔部に引張材とグラウトで定着体を造成し、グラウトと周辺地盤の付着によって安定を図っている。したがって、想定される引張力に耐え得る定着地盤と定着長の設定が必要であり、現状では土砂地盤を定着部とした施工例はほとんどない。 一方、最近では種々のアンカー工法が開発されており、その中の一つに拡径型アンカーがある。拡径型アンカーとは自由長部に比べて、定着長部を拡大させたアンカー体のことをいい、既に実用化されているものは、φ500~800 程度の定着体を形成する。従来型の摩擦型アンカーに比べて、短い定着長でも摩擦面積を稼げるほか、支圧による引抜抵抗力を期待でき、①土砂層での定着、②施工範囲の縮小、③コスト縮減などの可能性から、従来型のアンカー工法や山留め支保工に代わるものとして注目されている。 拡径型アンカーに期待される引抜抵抗力は、定着長部の支圧力と摩擦力の和として考えられるが、変位に応じてそれぞれの効果がどのように発揮されるのかということは明らかになっていない。また、支圧による引抜抵抗力の設定についても明確な設計手法が確立されていない。そこで、拡径型アンカーの基本的な強度特性を調べるために、実大模型による引抜試験を実施した。 |