| 既往の調査によれば、 ①内分泌撹乱作用が疑われる物質の中に、河川水中や下水道に広く存在するものがあり、 ②下水処理場の放流先河川の一部の雄コイの血清中からビテロジェニンが検出されている。現在のところ、下水処理水とビテロジェニン誘導の因果関係は、完全には確認されていないが、下水処理水のin vivoの試験系による評価は検討されているところである。一方で、 in vitroの試験系によるエストロゲン様活性の測定手法と水中の化学物質の分画手法を用いた、下水中の内分泌かく乱化学物質の同定に関する調査結果によれば、下水処理水のエストロゲン様活性は下水処理場ごとに大きく異なっており、その大部分は17β-エストラジオールE2やエストロンE1などの遊離体エストロゲンの寄与によるものであることが判明している。このため、下水処理場の放流先河川における魚類のビテロジェニンの誘導を抑える対策として、下水処理場におけるE2やE1などの遊離体エストロゲンを削減することが有効である可能性が大きいと考えられる。水質チームの既往の研究結果では、下水処理工程の後段部分におけるDO濃度によって、遊離体エストロゲンの減少の程度が大きく左右されることが示唆されている。本調査では、下水処理工程の後段部分(最終沈殿池や返送汚泥系)における無酸素条件下でのエストロゲンの変化の特性を把握するために、易分解性有機物の除去が終了した段階の活性汚泥を用いて、無酸素条件下での回分実験を実施し、遊離体エストロゲンの変化の特性を把握した。 |