| "本研究では一時水域(以下,TWA)が産卵場として利用される実態をギンブナCarassius auratus langsdorfii)を指標種に現地調査を通じ評価すると同時に,出水時の本流との接続頻度,出水時の接続状態等を水理計算結果で詳細に再現し産卵行動との関係性を評価し,TWAに産卵場としての機能を期待する場合に必要な物理条件を提言することを目的とした.調査地は信濃川水系千曲川千曲川鼠橋付近(以下,調査地とする)で行った.調査対象としたTWAは,本流との接続頻度が異なる5箇所のTWAとした.調査地内のTWAで,2005年5月~8月までギンブナの採捕を行いギンブナの稚仔魚(以下,稚仔魚)の出現状況を把握した.ギンブナの成長曲線から産卵時期を推定した.出水時の流況を推定するため平面2次元流解析を定常流量で行いTWAの接続頻度及び接続状態を評価した.TWAが産卵場として機能するための物理条件は,魚類データの解析結果(ギンブナの出現,産卵時期の推定),水理計算による接続頻度,接続状態(水深,流速)の関係を分析した. 出水により接続しなかったTWAでは稚仔魚は確認されず,出水による接続があったTWAでは接続後稚仔魚が確認され,成長曲線から産卵時期は出水による接続後であると考えられた.出水による接続があったTWAでも出水時流況により稚仔魚の確認状況が異なった.出水による接続があったTWAでも接続時TWA内の流速が早く水深が深い場合には稚仔魚の確認がなかった.接続時のTWA内の流況が産卵適していないため産卵できなかったと考えられた. TWAが産卵場として利用されるためには,①本流とTWAが産卵期に出水により接続すること,②出水時のTWA内の流速が産卵に適した流速であること,③出水時にTWAが出水時の冠域に著しく水没しないことが必要であることが考えられた." |