| 比較的大きな変状が発生したトンネルの補強対策としては、全断面覆工打替え工法や既設覆工の内面にプレキャストコンクリート、鋼板などを接着する内面補強工法が適用されている。しかし、打替え工法では、不安定な既設覆工の撤去に際し、多大な工費と工期が必要となる。一方、補強断面が厚い内面補強工法の場合、内空を侵すため建築限界を確保できない。また、コンクリート片の剥落防止として適用される繊維シート接着工法は、引張耐荷力が向上するが、圧縮耐荷力の向上が期待できない。そのため、可能な限り薄肉で、圧縮・引張耐力ともに向上効果があり、かつ安全性・経済性に優れた内面補強技術が求められている。内面補強技術を開発するにあたり、一般には以下の問題点が挙げられる。第1に、場所打ちコンクリートで内巻補強を行う場合は、充填性の確保を考えると、最低でも15cm程度の巻厚が必要となる。第2に、補強巻厚を薄くした場合、一般的に普通コンクリートでは収縮ひび割れが発生し易く、耐久性の低下につながる。第3に、前述した収縮ひび割れのほか、地圧などの荷重によってもひび割れが発生するため、第3者被害につながるコンクリート片の剥離・剥落が懸念される。これらの問題点を解決するため、筆者らは、吹付け施工型の高靱性セメント複合材料(Engineered Cementitious Composites 以下、BCC)と鋼材を用いた薄肉な内巻補強技術を考案した。本報では、最適な鋼材の設置方法を検討するために実施した吹付け実験および耐荷力を確認するために実施した実大の静的載荷実験について報告する。 |