| 主として岩盤に掘削される山岳トンネルにおいては,過去の地震ではトンネル構造に大きな損傷を受けるのは断層破砕帯等の極端に地山の悪い箇所や不安定な斜面内,トンネル自体が既に変状を生じていた箇所,坑口部などに限られていたため,これらの箇所では覆工の補強等の対策を行う場合が多いが,これら以外の箇所に関しては地震に対する特別な配慮はなされてこなかった。しかし,1995年1月の兵庫県南部地震や2004年10月の新潟県中越地震では,数は限られるものの,特別な耐震対策が施されていない箇所においても比較的規模の大きな覆工の崩落を伴うような被害を受けた山岳トンネルがあった。これは,地震の大きさ,地山条件,トンネルの構造などによっては,これまで耐震対策が不要とされてきた箇所においても地震による被害を受ける可能性があることを示唆している。このような被害を最小限にするための耐震対策を合理的に実施するには,山岳トンネルの地震時における被害発生のメカニズムを明らかにし,耐震対策が必要となるトンネルの条件および効果的な耐震対策の方法とその設計法を確立する必要がある。本研究では,地震被害メカニズムを解明する上での第一段階として,新潟県中越地震において比較的規模の大きな被害が発生したトンネルを対象とした数値解析を行うとともに,土砂地山中のトンネルを模擬した模型振動実験を行った。 |