| 1.はじめに 河川流量の減少や流況の平滑化は,しばしば有機物やシルトの堆積,糸状緑藻の著しい繁茂を引き起こし,生物の餌資源としての河床付着膜の質の低下,景観の悪化や親水性の低下をもたらす.このような河床の健全性が損なわれる要因は,流量の減少,平滑化だけでなく,これら流況の変化を介して生じる生物生息場や生態系の劣化による,付着藻類を摂食する生物の生息密度の低下も一因と考えられる.したがって,河床環境の修復においては,維持流量の増加やフラッシュ放流などの対策だけでなく,流況や生物生息環境を修復し,河川生態系を回復させ,付着膜を摂食する生物の生息を回復させる等のより本質的な河川環境の保全・復元を図っていくことが必要である. 以上を背景に,本研究では,河床環境修復の観点から,生物の摂食が河床付着膜の性状に果たす役割に着目し,これらを定量的に明らかにすることを目的とする.筆者らはこれまでに,アユ及びオイカワの摂食による河床付着膜の性状変化や河床環境へ果たす役割について報告した.本報告では,それらの変化に伴う一次生産への影響について示す.これまで生物の摂食と生産力との関係については,摂食による付着藻類現存量(強熱減量は」クロロフィルa量)の減少や藻類群集の変化を介した一次生産への影響について示されているが,河川管理に反映させていくためには,さらに定量的な知見の蓄積が必要である. |