| 洪水災害は世界各地で頻繁に発生し、その死者数は他の自然災害よりも多く、毎年平均2万5千人が死者行方不明者となっている。経済被害も国や地域の発展に大きな影響を及ぼし、途上国では1つの洪水被害額がGDPの20%以上に及ぶ打撃を与える場合もある。このような洪水被害件数は世界各地で増え続け、今後、気候変動と人口増加によりますます増加すると予測されており、定量的な将来の洪水被害について予測を行うことが必要である。また、このような世界的な視点とは別に発展途上国を中心とした国々では個別流域レベルの詳細な検討を行うことが必要・有効である。以上のような背景から、ICHARMでは気象研究所のMRI-AGCMシリーズのシミュレーション結果を用いて、全球ならびに特定脆弱地域を対象に、気候変動が洪水リスクへ与える影響を評価し、必要な対策シナリオを提案する。 平成21年度は、現在までに開発したGCM計算雨量の補正手法を用いながら、不確実性を考慮した地球温暖化時の全球の雨量を現在気候、近未来気候および将来気候について定量的に評価した。またその情報を用いて世界の主要河川流域について流出シミュレーションを実施し、洪水ハザードの変化を不確実性を含めて定量評価した。さらに、得られた洪水ハザードの定量評価に、社会状況を加えて洪水リスクを評価し、対策コストを評価する手法の検討を行った。一方、特定脆弱地域(ネパール西ラプティ川流域およびメコンデルタ)においても、近未来気候および将来気候における洪水リスクの変化を評価して、地球温暖化によって洪水による被害の変化を評価した。 |