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発表 特定外来生物ウチダザリガニの関東での初記録:高水温域への分布拡大

作成年度 2010 年度
論文名 特定外来生物ウチダザリガニの関東での初記録:高水温域への分布拡大
論文名(和訳)
論文副題
発表会 2010年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会
誌名 2010年日本プランクトン学会・日本ベントス学会合同大会講演要旨集
巻・号・回
発表年月日 2010/10/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
河川生態チーム中田和義
林紀男
尾崎真澄
大高明史
河川生態チーム三輪準二
抄録
北米産外来種のウチダザリガニは、在来生物に対して甚大な被害をもたらすことが知られている。このため本種は、2006年に外来生物法による特定外来生物に指定された。一般に、ウチダザリガニは冷水性の生物として認識されており、本邦では特に北海道において分布域を急速に拡げている。この一方で、ウチダザリガニの定着場所は福島県・長野県・滋賀県においても確認されており、本州でも分布域を拡大しつつある。しかしながら、本州におけるこれらの定着場所は、いずれも冷涼な気候を伴う高緯度域に位置しているため、水温が大きく上昇することはない。このことは一見して、ウチダザリガニが冷水性であるために高水温域での分布拡大の可能性が低いことを示しているかのように思える。しかしながら、演者らによって最近、関東地方の高水温域(利根川水系)でウチダザリガニが初めて採集された。本発表では、関東で採集されたウチダザリガニの詳細について報告するとともに、本研究で得られた結果と既往の知見に基づき、本種の高水温域への分布拡大の可能性について考察する。  2009年9月から2010年1月にかけて、利根川水系において計12個体のザリガニ類が採集され、それらはすべてウチダザリガニと同定された。採集されたウチダザリガニの全個体から、ザリガニ類の共生生物であるヒルミミズ類が多数出現した。出現したヒルミミズ類は、Sathodrilus attenuatusの1種のみであった。S. attenuatusについては、北米におけるウチダザリガニの原産地を除くと、世界の中でも北海道と福島県に定着したウチダザリガニの個体群以外では発見されていない。したがって、利根川水系のウチダザリガニについては、北海道または福島県から人為的に導入された可能性が高いと考えられた。また、利根川水系における漁業従事者を対象に聞き取り調査を実施したところ、ウチダザリガニは2005年頃より利根川水系に出現し始め、抱卵個体も見られたとの情報が得られた。このことから、利根川水系にウチダザリガニが定着している可能性は高いと思われた。 本研究においてウチダザリガニが採集された地点の近傍で、2008年10月から2009年10月に1時間ごとに測定記録された水温の連続データを入手したところ(千葉県内水面水産研究所提供)、7~8月の水温は連日25℃を超え、測定期間中の最高水温は31.3℃であった。ウチダザリガニは一般に冷水性の生物として認識されているものの、既往研究による高水温耐性試験の結果からは、30℃程度までは生残可能なことが示されている(Nakata et al.、 2002)。このことは、利根川水系のような高水温域にウチダザリガニが定着可能なことを支持している。以上から、ウチダザリガニは、低水温域のみならず高水温域にも定着できる可能性があり、放流されれば潜在的には本邦の広い範囲に分布域を形成する可能性が示唆された。
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