| ネコギギ Pseudobagrus ichikawai はナマズ目ギギ科に属する日本固有の夜行性の純淡水魚であり、伊勢湾および三河湾に注ぐ河川にのみ分布する。本種は、その分布の局所性から学術上重要な種として1977年に国の天然記念物に指定された。主要な分布域である三重県では過去8水系においてネコギギの生息が確認されていたが、近年では4水系にまで分布域が縮小している(三重県 2006)。以上を鑑み三重県では、2003年度より員弁川水系天然記念物ネコギギ保護増殖事業(現、「いなべ市天然記念物ネコギギ保護増殖事業」に移行)を立ち上げ、指導委員会の中で水系全体のネコギギの保全・保護対策を討議している。その中の骨子として、員弁川水系のA河川における再導入計画があげられている。 員弁川水系における本種の減少要因としては、台風等の自然災害や河川改修による生息場所の改変が指摘されており、特に近年は、護岸工事による河岸部の固定化(生息場所の喪失)や堰による移動の阻害が本種の生息抑制を招いていると館gな得られている(三重県 2006)。以上より、本種の生息域内保全を行うためには、生息場所が担保された河川改修方法の開発が必要であり、既改修河川に生息場所が不足している場合には生息場所を整備することが望ましい。しかし、そもそも本種の生息場所特性に関する知見は少なく、設計に適用できる具体知見は見られない。以上を鑑み演者らは、昼間に本種が潜む隠れ場所に着目し、河川の物理環境構造との関係を定量的に把握することを目的に2003年より調査・実験を実施してきた。 本発表では、三重県内に残された比較的良好な生態河川(リファレンスサイト)で得た本種の生息場所特性、そして、ネコギギの再導入を計画しているA河川(再導入河川)の生息場所の質と量の評価。さらには、実験より実証された礫や木製構造物を用いて考案・作成したフトン籠の再導入河川への設置について報告する。 |