| 水域生態系の保全・復元において、生物の生息場の連続性を維持することは重要である。とりわけ、生活史の中で海域と河川間の移動を必要とする通し回遊性の生物にとっては、移動の阻害が個体群の衰退や絶滅につながる場合があるため、生息場の連続性の維持は非常に重要な位置づけとなる。 通し回遊性生物の生息場の連続性を維持する上では、移動阻害の一因となりうる河川横断構造物などが生物の移動や分布に及ぼす影響を明らかにし、遡上阻害要因を改善することが求められる。河川横断構造物が通し回遊性の生物に及ぼす影響やその改善に関しては、魚類を対象とした研究例が多い。一方で、河川生態系において重要な生態学的役割を果たすことに加えて、大型魚類のように高い遡上力や跳躍力を持たないために十分な配慮が求められる甲殻類については、研究例が少ない。本研究では、生活史において海域と河川間の移動を必要とする両側回遊型の淡水性甲殻類のうち、とくに遡上力が弱いことが知られているミゾレヌマエビに着目した。そして、河川横断構造物におけるミゾレヌマエビの遡上行動パターンを明らかにした上で、本種の生態に配慮した河川横断構造物の修復に関する知見を得るための野外実験を実施した。 |