| 作成年度 | 2010 年度 |
|---|---|
| 論文名 | 産卵母貝の生きざまを理解する:イシガイ類の基礎から応用生態までの最新知見 |
| 論文名(和訳) | |
| 論文副題 | |
| 発表会 | 2010年度日本魚類学会年会 |
| 誌名 | 2010年度日本魚類学会年会講演要旨 |
| 巻・号・回 | |
| 発表年月日 | 2010/09/01 |
| 所属研究室/機関名 | 著者名(英名) |
|---|---|
| 北海道大学大学院地球環境科学研究院、独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター | 根岸淳二郎 |
| 独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター | 佐川志朗 |
| 独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター | 萱場祐一 |
| 独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター | 久米学 |
| 独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター | 永山滋也 |
| 抄録 |
|---|
| イシガイ目淡水二枚貝(イシガイ類)は、全世界で約1、000種、わが国では18種が生息しているが、様々な人為的な影響によってその種多様性が低下し、さらに生息数の減少を伴い生息域が急速に縮小しているとされる。国内では、平野部の水路やため池で広く一般的に見られたが、圃場整備事業などに伴う生息地の急速な環境変化によって姿を消しつつある。イシガイ類にとっての生息環境の劣化は、生きたイシガイ類を産卵母貝として必要とするタナゴ亜科魚類の再生産に直接的に影響を及ぼす。これらの理由から、イシガイ類やタナゴ亜科魚類の生息域の保全や再生に関する活動が全国的に報告sれている。それらの活動が効率的かつ効果的な成果へとつながるためには、イシガイ類の様々な生態的特性に関する科学的な知見が不可欠あろう。特に、極めて基礎的な情報(たとえば、イシガイ類は何年間生きるのか?)に関する理解、あるいは様々な環境要因とイシガイ類の生息状態との間にある因果関係(相関関係ではなく)に関する理解を深め、これらの情報を地域レベルで活用できる形で提供しなければならない。ここでは、イシガイ類の生息環境やその劣化機構に関する理解の現状について整理する。さらに、明らかにされつつあるイシガイ亜科に属する淡水二枚貝の基礎と応用に関する知見を整理し、タナゴ亜科魚類を含めた陸水生態系の保全への一助としたい。 主に海外の既往研究を整理すると、近年の生息地の縮小ならびに生息数の低下については、間接的な経路、特に生息環境の物理的な改変(ダム建設、河川改修、圃場整備など)による影響が大きな要因ととして説明されている。しかし、これまで生息場所の改善や維持に必要不可欠である微生息環境に関する研究は、国内においては稀有であり、それらは土木工学的観点からの活用が期待できる形では提供されていない。また、年齢や餌資源といった基礎生産に関する知見も限定的であることが分かる。この状況を鑑みて、演者らによって行われた濃尾平野を中心とした農業用水路や科sん氾濫原水域(いわうるワンドやたまり)を対象にした調査から、次のようなことが分かりつつある。複数年にわたる再捕獲調査から、イシガイ亜科の成長は高水温期に限られており、個体の推定寿命がこれまでの値(10年程度)を大きく上回り、数10年規模になることが示唆された。一方、水路を対象にした垂直・横断方向の個体分布から、特により絶滅が危惧されている種は高い環境選択性(特に流速)を持ち、季節的に上下運動を行うことが明らかになった。さらに、イシガイ類の生息状況と魚類の群集構造の対応を検討した結果、イシガイ類の生息状況の良好な水域では、確認される魚類群集が高い種数および個体数によって特徴づけられることが明らかになった。また、イシガイ類が魚類群集を含めた陸水生態系の指標となる可能性が高く、残存するイシガイ類の生息地を優先的に保全する管理上の仕組みが求められる。 |