水生生物保全に係る要監視項目は、現時点において下水処理場放流水が規制を受けることはないが、将来の環境基準化、排水規制化の可能性も踏まえ、下水処理場での挙動及び除去特性把握が必要と考えられる。本研究では、要監視項目6 物質について、下水試料を対象とした分析方法の検討及び複数の下水処理場における除去特性把握調査を行い、下水試料に適した分析方法の提案を行うとともに、流入下水、二次処理水中の濃度レベル及び除去特性を明らかにした。また、流入下水から公共用水域での指針値を超える濃度で検出されたフェノールを対象として下水処理場における挙動調査を行った。その結果、クロロホルム、ホルムアルデヒド、4-t-オクチルフェノール、アニリン、2,4-ジクロロフェノールの5 物質の流入下水中の濃度は指針値を下回っていること、フェノールは流入下水から指針値を超える濃度で検出されたが下水処理により90%以上除去されて放流水では指針値を下回ることがわかった。フェノールについて、標準活性汚泥法、嫌気好気ろ床法の下水処理場において処理工程での詳細な挙動調査を行い、両処理方式とも生物反応槽で大きく除去されていることを確認した。なお、標準活性汚泥法の活性汚泥を用いた回分式除去実験により、フェノールは活性汚泥により容易に除去されることがわかった。 |