山岳トンネルの施工においては,日々の計測や切羽観
察を参考に適切な支保パターンや補助工法が採用されて
いる.切羽観察は現場技術者の知識や経験に依るところ
が大きく,技術者の経験により判断が異なる場合も多い.
また,今後熟練の技術者が減少することにより,適切な
判断が困難になることが懸念される.近年では,それら
の技術者による判断のばらつきの解消や,技術者不足へ
の対応を目的として,AIによる画像解析技術を用いた切
羽評価システムの開発が進められている.その中で,切
羽撮影時の環境やカメラの設定がAIによる切羽評価の結
果に影響を与えることが明らかになっており1),画像解
析に適した切羽写真の撮影条件が提案されている2),3).
しかし,それらの切羽の撮影条件が画像解析結果に及
ぼす影響について実際に検討された事例は少ない.本検
討では,山岳トンネルの切羽評価に画像解析技術を活用
する際に求められる切羽写真の撮影条件等を明らかにす
ることを目的に,切羽写真の撮影条件に関する評価方法
を提案するとともに,撮影条件が切羽写真の画質や画像
解析の出力結果に及ぼす影響について分析した.また,
分析により得られた写真撮影時の留意事項を提案する. |