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 難風化酸性硫酸塩土壌の中和緑化技術に関する研究

作成年度 2021 年度
論文名 難風化酸性硫酸塩土壌の中和緑化技術に関する研究
論文名(和訳)
論文副題
発表会
誌名 成果報告書
巻・号・回 令和3年度
発表年月日 2022/03/31
所属研究室/機関名 著者名(英名)
資源保全チーム横濱充宏、松田俊之、中谷壮範 酒井美樹、山本弘樹、田中稔
抄録
酸性硫酸塩土壌は、パイライト(FeS2)、硫化鉄(FeS)など容易に酸化して硫酸に変化する物質ならびに硫酸を含有し、これらが原因となって強酸性(pH3.5 以下)を呈する土壌である。大規模な切土工事を行った場合、地中深くに埋没していた酸性硫酸塩土壌が露出する恐れがある。このような切土法面を緑化した場合、植物が酸による被害を受けることになる。したがって、酸性硫酸塩土壌が露出した切土法面に植物を定着させる場合、酸による害から植物を保護する対策が必要である。資源保全チームは、1997 年に酸性硫酸塩土壌が露出した切土法面の低コスト緑化工法として、中和緑化工法を開発した。その後、中和緑化工法の施工実績がある天塩町、遠別町および北斗市の全施工地点において、施工後長期間が経過した切土法面で植物の繁茂状況の調査を行ったところ、一部の施工区域では、ラス金網の腐食破断による植生基材吹付層の剥落が発見された。剥落の原因は、植物根が伸長できるような亀裂がASS 層表層に発達せず、ラス金網の腐食破断前に植物根が植生基材吹付層をASS 層に固定できなかったためであった。本研究では、堅硬で亀裂の発達が困難な難風化酸性硫酸塩土壌の露出した切土法面に適応した中和緑化工法を開発するため、①、②および③の項目を実施して以下の成果を得た。 ① 難風化酸性硫酸塩土壌の判断基準の確立 難風化酸性硫酸塩土壌と易風化酸性硫酸塩土壌の判断基準には、道路土工で用いられている硬岩(硬岩、中硬岩)と軟岩(軟岩Ⅰ、軟岩Ⅱ)の分類基準が適用可能であることを明らかにして、難風化酸性硫酸塩土壌の判断基準を確立した。 ② 難風化酸性硫酸塩土壌に対する中和緑化工法の確立 難風化酸性硫酸塩土壌の露出した切土法面においても、植生基材吹付層が剥落せず、植生を成立させる条件を明らかにした。施工対象の酸性硫酸塩土壌の亀裂の発達度合いに応じて、植生基材吹付層の厚さを4cm~10cm とし、施工地の最大積雪深に応じた植生ネットあるいは落石防止ネットの選定基準を確立した。 ③ 酸性硫酸塩土壌に対する新たな中和緑化工法適用基準の提案 上述の①②の成果を用いて、従来型の中和緑化工法および本研究で開発した改良型中和緑化工法の選定フローを提案した。
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