国立研究開発法人土木研究所

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 濁水取水が水田灌漑に及ぼす影響に関する研究

作成年度 2021 年度
論文名 濁水取水が水田灌漑に及ぼす影響に関する研究
論文名(和訳)
論文副題
発表会
誌名 成果報告書
巻・号・回 令和3年度
発表年月日 2022/03/31
所属研究室/機関名 著者名(英名)
水利基盤チーム田中健二、鵜木啓二、川口清美、大久保天
抄録
近年の頻発・激甚化する自然災害に対して、国土強靱化基本計画の基本目標である被害の最小化、迅速な復旧復興を実現するため、防災・減災に資する対策を検討することは重要である。 厚真川流域では、 平成 30年北海道胆振東部地震により大規模な斜面崩壊が発生した。 厚真川では、崩壊土砂に起因した高濃度濁水が発生し、農業水利施設や水田農地への影響が懸念された。 実際に 出水時に は、取水操作が間に合わず、用水路や水田農地に濁水が取水されている状況が観察された。 そこで本研究では、濁水取水が水田灌漑に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、 現地調査と室内試験を実施した。 現地調 査では、厚真川本川の農業用頭首工において濁度を連続観測し、震災後 3年の濁水状況の把握を行った。室内試験では、水田農地を想定した土壌カラムによる定水位透水試験を実施し、濁水取水が透水性に及ぼす影響を調べた。 現地調査では、SS濃度の時系列データを分析することで、濁水状況と斜面崩壊地との関係や頭首工による滞留効果との関係について時間的・空間的に考察した。 濁水は 、河川を流下し 頭首工により堰止められ滞留が生じることで土砂が沈降し、上澄みの濁水が下流に流れると考えられ 、 頭首工によ る 滞留 効果により SS濃度のピークの遅延効果と急激な上昇を低減さ れることが明らかとなった 。 また、震災後 3年の濁水状況から、以降の試験条件を設定した。 土壌カラムによる定水位透水試験では、 清水条件と濁水条件の土層ごとの飽和透水係数を求め、比較することで、濁水取水により飽和透水係数が大きく減少することが明らかとなった。特に、上層ほど減少率が大きい傾向であった。濁水に含まれる流出土砂と試験後の土壌の粒度分析の結果から、流出土砂はシルト成分が支配的であり、表層土壌ほど粒径が小さい粘土やシルト成分の割合が増え、濁水により粒 径が小さい土砂が土壌間隙に侵入し、目詰まりを起こしたと考えられた。
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