国立研究開発法人土木研究所

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発表 ダム貯水池における微生物群集構造の動態解析

作成年度 2022 年度
論文名 ダム貯水池における微生物群集構造の動態解析
論文名(和訳)
論文副題
発表会 日本微生物生態学会第35回大会
誌名 日本微生物生態学会第35回大会要旨集
巻・号・回
発表年月日 2022/10/31 ~ 2022/11/03
所属研究室/機関名 著者名(英名)
水質チーム末永 敦士(SUENAGA Atsushi)
水質チーム對馬 育夫(TSUSHIMA Ikuo)
島根大林 昌平(HAYASHI Shohei)
水質チーム山下 洋正(YAMASHITA Hiromasa)
抄録
ダム貯水池における富栄養化による水質障害について、十分に解決されていない課題が残っており、その中の一つとしてジオスミンなどのカビ臭産生が挙げられる。しかし、実環境におけるカビ臭放出のプロセスは未だに明確になっておらず、その理由として藍藻が種ごとに異なる生物学的特徴を有することや、藍藻とその周囲に存在する微生物との相互関係が重要であること、さらに藍藻を含む微生物叢と水質や日射量などの環境要因が複雑に作用しているためとされている。そこで、本研究では、ダムの水質モニタリングおよびカビ臭制御に資する情報を得るべく、環境要因および微生物遺伝子情報に着目し、解析を行っている。2021年7月から12月にかけて、ダム貯水池において、計5回の採水および水質分析を実施し、16S rRNA遺伝子を対象とした微生物群集構造解析および正準相関分析を行った。微生物群集構造解析の結果、ジオスミンが高濃度に検出される時にはDolichospermum属が多く検出され、それ以外の時期ではCyanobacteria門からはピコプランクトンの一種であるCyanobium属が多く検出され、Dolichospermum属はほとんど検出されなかったことから、ジオスミン生産は主にDolichospermum属によるものと考えられた。また、正準相関分析の結果、ジオスミンが高濃度に検出される試料の種組成はDOCやT-Pと高い相関を示し、ジオスミンの産生において有機物やリンは重要な因子である可能性が示唆された。さらに表層水の試料のうち、ジオスミンが検出された試料と非検出の試料では菌叢が大きく異なっていることが確認されたことから、微生物群集構造を詳細に解析することで、ジオスミンを直接産生する微生物だけでなく、ジオスミン産生に関与する微生物群に関する知見が得られる可能性がある。カビ臭制御に資する情報を得るべく、現在、ジオスミン産生に関与する微生物群の検討を行っている。
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