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発表 施工の省力化を図る新たなインバート形状の成立性に関する考察

作成年度 2023 年度
論文名 施工の省力化を図る新たなインバート形状の成立性に関する考察
論文名(和訳)
論文副題
発表会 第33回トンネル工学研究発表会
誌名 トンネル工学論文集
巻・号・回 33 1
発表年月日 2023/11/21 ~ 2023/11/22
所属研究室/機関名 著者名(英名)
東京都立大学棗 拓史(NATSUME Takuto)
東京都立大学中里 倫子(NAKAZATO Rinko)
東京都立大学河田 皓介(KAWATA Kosuke)
トンネルチーム日下 敦(KUSAKA Atsushi)
東日本高速道路株式会社大津 敏郎(OTSU Toshiro)
東京都立大学砂金 伸治(Isago Nobuharu)
トンネルチーム小泉 悠(KOIZUMI Yu)
抄録
近年,供用中の山岳トンネルにおいて,完成後の長期 の時間経過後に盤ぶくれが顕在化する事例が増加してい る.盤ぶくれは車両の安全な走行を阻害し利用者被害 を生じさせることに加え,長期間放置することでトンネ ルそのものの健全性や構造の安定性に悪影響を及ぼす恐 れがあるため,対策を講じる必要がある.盤ぶくれに対 する最も基本的な対策のひとつがインバートの新設また は再設置による補強(以下, 「インバート補強エ」)であ り,特に既往の山岳トンネルにおいて,その重要性が改 めて確認されてきており,新設時にインバートを設置する条件をさらに広げる動きもある一方,平成9年10月 の設計要領の改訂以前に建設された高速道路トンネルで は,施工時に発生する変形が小さく地山状態が良好であ った等の理由によりインバートが設置されていない区間 も多く,そういった区間で供用後の地山の劣化等により 変状が発生した事例が報告されている2). また,それら と類似する条件において,今後,盤ぶくれの発生が懸念 されるトンネルが多く存在する.そのため,既に盤ぶく れを含め顕著な変状が生じているトンネルに対して補強 対策を講じる必要があることは自明であるが,将来的な 変状の発生が懸念される区間に対してもインバートを順 次設置していくことが重要であると考えられる.しかし,供用中のトンネルでのインバート補強工には 多くの課題がある.力学的な面での課題として,補強に 伴う上半側での変状の発生が助長されるといった知見の みならず,施工性の面では, トンネル内の限られた狭い 空間において路面の掘削,インバートコンクリートの打 設排水エ・舗装等の復旧といった規模の大きい一連の 工事を行わなければならないことが挙げられる.また, 経済性や社会的影響の面では,施工空間を確保するため に行う交通規制や通行止めに伴う渋滞の影響を最小限に 抑えなければならず,結果として施工期間や作業時間が 限られ工期が長引くことによるコストの増加や規制期間 の長期化が挙げられる.今後こうした事例が各地で増 加し続けた場合,維持管理に携わる事業体の負担が大き くなり,健全性を維持していくことが困難になると推測 される.そのため, トンネル構造としての成立性を担保 しながらも施工速度の向上が見込める等工費や工期を 削減できる合理的なインバート構造の検討を行う必要性 が高まる可能性があると考えられる. こうした背景を踏まえ,著者らは,供用中のトンネル におけるインバート施工の省力化や交通に与える影響を 低減させることを念頭に置いた新たなインバート形状を 仮定し,模型実験や数値解析を通して,インバート形状 の変化がトンネル構造全体の挙動や補強効果に与える影 響を検証してきた4),5).本論文では,既往の検討を踏ま えて,インバートの挙動を検討するにあたって必要と考 えられる載荷形式によって模型実験を包括的に実施する ことで,新形状が有する補強効果を評価するとともに, その成立性を検討したまた,模型実験を数値解析によ り再現することで実験結果の妥当性を検証し,実構造へ の適用を見据えた課題を考察した.
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