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発表 かぶりコンクリートのはく離に着目したプレキャスト覆工の破壊メカニズムに関する一考察

作成年度 2023 年度
論文名 かぶりコンクリートのはく離に着目したプレキャスト覆工の破壊メカニズムに関する一考察
論文名(和訳)
論文副題
発表会 第33回トンネル工学研究発表会
誌名 トンネル工学論文集
巻・号・回 33 1
発表年月日 2023/11/21 ~ 2023/11/22
所属研究室/機関名 著者名(英名)
トンネルチーム菊地 浩貴(KIKUCHI Koki)
トンネルチーム日下 敦(KUSAKA Atsushi)
トンネルチーム小泉 悠(KOIZUMI Yu)
PCL協会渡部 敏(WATANABE Toshi)
戸田建設株式会社巽 義知(TATSUMI Yoshitomo)
抄録
山岳トンネルエ法(いわゆるNATM) により施工され る通常断面の道路トンネルの標準区間の覆工では,現場 打設による設計巻厚30cm, 圧縮強度18N/mm2の無筋コ ンクリート(以下「従来覆エ」)が標準的に採用されて いる1.2).近年,生産性向上等に向けてプレキャスト覆工(以下「PCa覆エ」)や薄肉化した覆工等の新しい覆 工に関する研究・開発が行われており,実験や数値解析 を用いた耐荷性能に関する検討が行われている3.4.5).筆 者らは,共同研究として, PCa覆工の現場適用に必要と なる耐荷性能の検証方法の検討やPCa覆工の開発を行っ ている.これまでに,回転バネ値が小さくピンに近い継 手構造を有する2分割型PCa覆工6)と,左右非対称の位 置にボルト締結式の継手を有する3分割型PCa覆工に ついて,全周で地山等級DI相当の地盤反力が期待できる条件下で天端への緩み荷重を想定した実大規模の載荷 実験を実施し,従来覆エと同等の耐荷力が得られたこと を報告している.また,真下ら3)は, 6ピースのプレキ ャスト部材からなる実大のPCa覆エ供試体を用いた載荷 実験を行い,従来覆エと同様の破壊メカニズムであるこ とを確認するとともに,数値解析でファイバー要素と線 形回転バネを用いることで破壊メカニズムを概ね再現で きることを明らかにしている.一方で,実験と異なる断 面形状や継手構造等を有するPCa覆工に当てはまらない 齢もあり得ること,継手溝造によってはPCa覆工の耐 荷力の算定に非線形の回転バネでモデル化した解析が必 要となる場合も考えられることも述べている. PCa覆工 は,継手構造や位置分割数など多岐にわたる構造が想 定され,それらが耐荷力や破壊メカニズム等の耐荷性能 に与える影響は解明されていない部分がある. 本研究では,同一の載荷条件のもと実施した前述の2分割型PCa覆エと3分割型PCa覆工の実大規模の載荷実 験結果から,それらの耐荷力や破壊メカニズムの解明を 試みた分析の結果,天端および肩部で軸力と曲げモー メントの両方が発生する点では従来覆エと同様の変形モ ードを有することや,構造全体の耐荷力は概ね同等であ ることが明らかになった.ただし, PCa覆工では,最終 的に継手部付近で鉄筋の座屈およびかぶりコンクリート のはく離が生じ,構造全体の耐荷力が決定されているこ とが明らかとなった.これは,須田ら8)および星隈ら9.10) が提案しているRC橋脚の地震時の破壊メカニズムと類 似する結果であった.そこで,星隈らの評価手法を準用 した試計算を行った結果, PCa覆工におけるかぶりコン クリートのはく離を概ね再現できることが明らかになっ た.
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