近年,供用中の山岳トンネルにおいて,風化地山や粘
土鉱物を有する地山の体積膨張(swelling) や,周辺地
山からの塑性土圧の作用(squeezing) に起因する盤ぶく
れ(路面隆起)が発生し,対策工事が必要となる事例が
多く報告されている.盤ぶくれはインバートが未設置の
区間で多く発生する傾向にあるが,施工時にインバー
トが設置された区間でも発生しており,損傷したインバ
ートを打ち替える施工事例も報告されている.底盤部
の変状に対する対策エとしては,①底盤部地山に補強材
を配置し地山を補強する「地山補強」,②トンネル構造
を補強し耐荷力を向上させる「構造補強」,③外力として作用する地下水圧を減ずる「地下水対策」の3つが挙
げられる1).②に分類されるインバートの追加設置・打
替えは,耐荷力や変位抑制効果を向上させる有効な対策
とされる.一方で,同対策工をトンネル活線下で施工す
る場合,半断面施工が基本となり,導入できる掘削機械
等が小型となること等により施工効率が極端に低下する.
このため,長期に渡る交通規制が生じ,道路利用者に多
大な影響を及ぼすことが課題となる.そこで,標準的な
インバート構造に対し,掘削土量を低減できる新たなイ
ンバート構造について検討し,模型実験により力学的性
能や破壊に至るまでの変形モードや変状の進展等を比較
評価したので,ここに報告する. |