山岳トンネル覆工に一般的に使用されているコンクリ
ートはスランプが15cm程度のコンクリート1) (以下,普
通Coという)であり,国土交通省において標準仕様と
しているが,近年では生産性や品質の向上等を目的とし
て,スランプフローが40cm程度と普通Coに比べ流動性
が良い中流動覆エコンクリート(以下,中流動Coとい
う)が採用されている事例が確認されている.中流動
Coは従来の普通Coと高流動コンクリートの中間的な性
状を有するトンネル覆エ専用のコンクリートとして開発
された2).また,中流動Coは施工性の良さに加えて材料
分離抵抗性に優れ,初期密実性の高さや出来栄えが良い
等3),品質面での利点が報告されている.一方で,中流
動Coの中長期的な耐久性については,ひび割れではTCI
やひび割れ密度等による分析・検討が行われているもの
の例えば4), 経時変化を踏まえた変状の分析やその他の変状特性の影響に関しては検証がなされていない.
そこで本報文では,国土交通省が管理している道路ト
ンネルで覆工に中流動Coが適用されている事例につい
て収集し, トンネル定期点検(「道路トンネル定期点検
要領5) (以下,定期点検要領という)」(近接目視を基
本とし,必要に応じて触診や打音検査等を併用)に基づ
いた定期点検(以下,定期点検という))結果を基に普
通Coならびに中流動Coに発生した変状やその経時変化
について分析を行った具体的にはトンネル覆工に発生
する変状の種類や発生箇所等について整理し,普通Co
と中流動Coの経時変化も踏まえた比較を実施した. |