中流動覆エコンクリート(以下, 「中流動」という)
は,図-1に示すように,従来の覆エコンクリートと高
流動コンクリートの中間的な性状を有しており,材料
分離抵抗性や流動性に優れたNATMトンネル覆工専用
コンクリートとして開発し,東・中・西日本高速道路
株式会社(以下, 「NEXCO」という)において,平成
20年の「トンネル施工管理要領(中流動覆エコンクリ
ート編)」の制定を皮切りに適用が広げられ,平成25
年に標準設計とされた.
中流動を採用することの利点として,これまで普通
コンクリート(以下, 「普通」という)での狭小空間
における棒状バイブレータを用いた窮屈な打込み作業
となっていたが,中流動では型枠バイブレータでの締
固めとなり作業性が改善される.加えて,充填不足に
よる空洞が減り,コンクリートが密実になり,ひび割
れが少なくなる.天端部の縞模様がなくなり,ひび割れ誤認が減る等が挙げられてきた1).
そこで本稿では,中流動が採用され,ある程度期間
も経過したことから,上述した利点が長期耐久性の向
上に繋がっているかを検証した.
検証内容は2つあり, 1つ目は,力学的特性の観点で,
構造体としての耐荷力について評価し, 2つ目は,長期
耐久性の観点で, TCI (Tunnel-lining Crack Index) による,
ひび割れ総量(以下, 「F0値」という) 2) にて評価す
ることとした. |