近年,供用中の山岳トンネルにおいて,完成後長期の時間経過後に盤ぶくれが確認されている.盤ぶくれは
車両の安全な走行やトンネル構造の安定性に悪影響を及ぼす恐れがあるため,インバートの設置による補強
対策が行われる.しかし,供用中のトンネルにおいてインバートを設置するためには,トンネルを一定期間の
通行止め,もしくは片側車線とする交通規制を行う場合が一般的であり,施工に伴う渋滞等の社会的影響が懸
念される.また,規模の大きい工事をトンネル内の限られた狭い空間において行わなければならず施工性にも
影響が生じる.こうした背景を踏まえ,施工速度の向上が見込める等の合理的なインバート構造を検討するこ
とを目的に研究が進められ,模型実験をもとに従来の形状と力学的なメカニズムの差異等を比較した結果,形
状によっては一定程度の耐荷力を見込める可能性があることが示唆され,異なるインバート形状とすること
に検討の余地があると考えられている1)~2).本報告では,インバート等において発生するひび割れにより構造
系が変化することで全体の挙動および構造耐力に及ぼす影響を確認するために,ひび割れの進展を考慮した
非線形数値解析を行い,盤ぶくれを想定した模型実験の再現解析を試みた結果について述べる. |