コンクリート構造物の水中部の点検は潜水士の目視観察により行われているが、安全性・信頼性を確保するた
めには、水中部の劣化状況を非破壊かつ客観的に調査する技術の開発が必要である。本研究では、水中部コンク
リートの亀裂幅を超音波を用いて計測する手法について検討した。実験水路での模擬実験において、2 つのコン
クリート供試体の間に間隙を設け模擬亀裂とし、パラメトリックサブボトムプロファイラ(Parametric Sub-Bottom
Profiler、以下、PSBP)から超音波を照射し、コンクリート表面付近を伝搬した超音波を模擬亀裂前後に設置した
受信子で受信した。その結果、入射角20°と35°の受信波形の減衰から亀裂の有無を推定できること、模擬亀裂
幅と模擬亀裂前後における波形ピークの振幅の間に相関がありコンクリート亀裂幅が推定できることを明らかに
した。また、この送受信装置をROV(Remotely Operated Vehicle、有線で遠隔操作する水中カメラロボット)に搭
載し、構造物壁面に沿って上下方向に移動させ計測を行うことで、水中部でコンクリートの亀裂を調査する手法
の構想を作成し、調査方法をとりまとめた。 |