積雪寒冷地では、凍害と塩害の複合作用を受けるため、長期耐久性向上対策の確立が急務となっている。その
ためには、実環境下におけるコンクリートの耐久性の検証が必要となるが、その検証には長い期間を要するため、
促進試験や短期間での暴露試験結果等により耐久性を予測評価している現状にある。しかし、予測評価した耐久
性と実環境下にある実際の耐久性や効果の持続性については十分な検証がなされていない。
本研究では、暴露試験場や実構造物に暴露した試験体および現場試験施工の経年調査を行い、実環境下におけ
る長期的な耐久性やその予測評価手法の有効性を検証した。
シラン系表面含浸材の塗布から15~16年経過した道路橋3橋での調査の結果、吸水防止層の残存を確認したが、
中性化による塩化物イオンの移動濃縮がみられた。また、初代十勝大橋コンクリートの長期暴露試験について、
建設後80 年(暴露後25 年)時点における調査の結果、日射を受ける部位で凍結融解作用の影響と考えられる強
度や弾性係数の低下を一部確認したが、中性化の進行はみられなかった。ひび割れ修復後の耐久性を検証する暴
露試験では、ひび割れ注入箇所は暴露10 年後も補修効果は持続しているが、ひび割れ充填箇所は暴露5 年以降か
ら材料劣化等が発生して補修効果が徐々に低下していくことを確認した。スケーリング進行予測式の現場検証で
は、凍結防止剤散布環境下に供試体を設置して最長7 年間の追跡調査を行い、予測式と実測値の対応はみられた.
一方、普通ポルトを用いた一部の供試体でスケーリングが急増した。 |