近年多発する豪雨では、浸水や土砂氾濫、洗堀・侵食等の被害が深刻な問題となっている。また、水や土砂だけでなく、流木による被害も極めて甚大なものとなっている。流木の集積位置によっては、河川水位の上昇や氾濫を助長するため、流木の挙動や集積位置を予測することは、その対策の立案にとって重要な課題となる。本研究では、まず、出水中に土砂と流木が移動する過程における流木の集積と再移動に関する移動床水理模型実験を実施し、この結果を利用して流木の移動・堆積を再現できる数値モデルの開発を行った。流木模型の物性に応じて、既存の浮遊性の流木輸送数値解析モデルを修正し、掃流形態で輸送された沈降性流木の挙動を再現可能な数値解析モデルを構築することにより、流木の挙動に関するツールを開発した。また、河道内においては、河岸の侵食に伴って樹木が倒木することが流木の主な発生源となることから、植生の流失と河岸侵食に関する水理実験を実施し、数値解析モデルにより河岸侵食に伴う流木の発生過程(発生位置や時間)を定量化できることを示した。河岸侵食に伴う流木の発生過程を定量化したデータと上記の流木モデルと連携させることによって、流木の発生から集積までを予測するツールとなり得る。 |