| 山岳トンネルの建設工事において、覆工は、一般的に無筋のコンクリートを現場で打ち込むことで構築される。各種の品質向上対策が行われているものの、例えば、充填不足や締固め不足等によるうき・はく離や漏水等の不具合の発生は防ぎきれていない。また、現場打ちコンクリートは、狭隘な空間での打設や締固め作業が生じることや、脱型までに時間を要する等、生産性を向上させる上で限界がある。これらの課題を解決する新たな覆工構造として、例えばプレキャスト部材の適用が考えられるが、現状では、構造耐力が十分に検証されていないことや、経済性、施工性等に課題がある。
本共同研究では、PCL版を用いたプレキャスト覆工の開発を進め、実大載荷実験を実施し、その破壊メカニズムや耐荷性能を考察した。さらに、コンクリート材料の非線形性を考慮した数値解析により、破壊メカニズムの検証及び構造の合理化を検討した。
実大載荷試験の結果、PCL版を用いたプレキャスト覆工は、緩み荷重の作用を想定した載荷形式のもと、従来覆工(設計基準強度18N/mm2、 厚さ300mm)と概ね同等の破壊過程を示すこと、概ね同等の耐荷力を有することが確認された。躯体に軸力と曲げモーメントが発生する点は従来覆工と概ね同様の破壊モードであり、最終的に継手周辺のコンクリートのはく離及び主筋の座屈が生じ、荷重が低下することが確認された。本破壊メカニズムは、ファイバー要素を用いた解析モデルにおける継手周辺の主筋及びかぶりコンクリートの挙動を評価することで概ね再現できることが確認された。さらに、本破壊メカニズムに対しては、かぶりコンクリートの確保またはコンクリートの圧縮強度の増加が有効であることが確認された。(共同研究期間:令和3 年10 月~令和6 年3 月) |