本報告書は、土木研究所地すべりチームと民間企業8 社が、平成21 年度から平成23 年度にかけて実施した共同研究「地すべり地における地下水排除ボーリング工の排水性能調査」における成果をとりまとめたものである。地下水排除ボーリング工は、指針に示される長さや配置に基づき施工されているが、孔曲がりや漏水の実態はよくわかっていない。極端に孔曲がりした場合には①水平方向では、ボーリング工の配置密度の低下および偏りや近接する杭・アンカーの抑止工へ接触する。②鉛直方向では帯水層への未到達や自然流下勾配の未確保となる問題がある。さらに保孔管は、排水性向上や長寿命化を目的とした様々な特性を有する保孔管が開発されており、排水性や施工性において現場条件に応じた適切な保孔管の選定が求められる。そこで本共同研究では、既設あるいは施工中の地すべり地域内の地下水を排除するための集水ボーリング工や横ボーリング工の孔曲りや漏水の実態を孔曲がり測定および管内カメラ観察による調査、ならびに施工や保孔管に関するアンケート調査により、明らかにするとともに、現場条件を考慮した室内での集水性に関するいくつかの実験を行い、集水性能などの評価を試みている。 |