我が国の食料供給拠点となっている北海道においては、積雪寒冷な気象環境と泥炭などの特殊な土壌が広域に分布しているという地域特性に応じた技術開発を進めながら、農業基盤整備を実施してきた。これからは、整備してきた農業水利施設などの機能・性能を長寿命化するための適切な維持・予防対策および農業用水の需給変動に対応できる機能を確保するための技術開発を求められている。農業水利施設は送配水機能とそれを支える構造機能より成っているが、これら機能を保全するためには、土地利用動向と水需要の変化の把握、冷害対策などの水田水需要のへの対応、高水圧を有する大規模畑地灌漑施設の維持管理、積雪寒冷な気象条件や泥炭などの特殊土壌からなる地盤条件に対応する調査・設計や改修のための技術開発が課題である。このため、本重点プロジェクト研究では水田灌漑施設の送配水機能の評価・改善技術を開発するとともに、畑地灌漑施設の予防保全技術の開発を行う。また、積雪寒冷地域の特性を反映した農業水利施設の構造機能の診断方法および補修・改修技術の開発と、泥炭地盤における管水路の新たな設計手法を確立する。これら、一連の研究成果として、予防保全技術としての補修・改修計画作成手法の提案および、水田灌漑における効率的で安定した送配水機能を確保するための施設の操作方法の提案を行うものである。 |