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発表 木曽川におけるイタセンパラおよび淡水二枚貝類に配慮した順応的自然再生事業

作成年度 2011 年度
論文名 木曽川におけるイタセンパラおよび淡水二枚貝類に配慮した順応的自然再生事業
論文名(和訳)
論文副題
発表会 応用生態工学会第15回金沢大会
誌名 応用生態工学会第15回金沢大会
巻・号・回
発表年月日 2011/09/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター佐川志朗
北海道大学地球環境科学研究院根岸淳二郎
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター萱場祐一
アクアトト岐阜池谷幸樹
岐阜経済大学北村淳一
抄録
イタセンパラAcheilognathus longipinnisは、コイ科タナゴ亜科に属する日本固有種であり、わが国の淡水魚類の種指定天然記念物4種のうちの1種に指定されている。我が国では3地域に不連続に分布するが、どの地域の個体群も生息確認が断片的、局所的であり、経済的に安定して生息しているとは言い難い状況にある。本種を含めタナゴ亜科魚類は生きた淡水二枚貝類の鰓内に卵を産み込み、受精卵は浮上までその中に留まる片利共生(commensalism)を有する。また、本種の主な生息場所は、河川の営力で氾濫原域に形成されたワンド(タマリ)と呼ばれる本川に連続した湾状もしくは(孤立した池状)の水域である。しかし1970年以降、本種の生息河川では、本川の著しい河床低下に伴い、土砂堆積部の陸化および安定化が進行し、それに伴い、本種の生息状況が悪化してきたことが指摘されている。従って、本種の生息場所を復元・創出するためには、淡水二枚貝類を含めた生息の条件を、河川の氾濫、攪乱要因を含めて検討する必要がある。演者らは中部地方の木曽川(延長229㎞)の中下流域に存在する計104箇所のワンドを対象に浮上稚魚の有無と物理環境に関する調査を実施した。その結果、本種の繁殖ワンドは面積が大きく、増水時の掃流力が小さく、淡水二枚貝類の生息密度が大きく、水域のコネクティビティ(連続性)指数が大きいことが明らかとなった。以上を踏まえ、現在、モデル地区を設定して、順応的に自然再生事業を検討、実施している。
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