地すべり対策工として用いられるグラウンドアンカー(以下、アンカーという)は、一般には設計荷重よりも低減した初期緊張力が導入される。その初期緊張力は、同一の設計計算断面(主測線や副測線)で求められたアンカーについては全て同じである場合が多い。初期緊張力を設計荷重よりも低減した場合、アンカーは地すべり滑動に伴って徐々に緊張力が上昇し、効果を発揮することが期待されているが、実際に地すべりが移動した現場では移動土塊の移動量は均一ではなく、それに伴いアンカー緊張力も不均一な上昇を示しているのが現状である。 アンカーの緊張力の上昇が極端に進行した場合、一部のアンカーが早期に破断したり、アンカー体が破壊し引き抜けるなどの恐れがある。この様なアンカーの破壊は局部的な抑止力不足となるため、逐次的なアンカーの破壊へとつながり、アンカーで対策された斜面の安定性を著しく損なうことが懸念される。 そこで、多くの現場で全てのアンカーに対し均一の初期緊張力を導入している現状に対し、初期緊張力を調整することにより上昇後のアンカーの緊張力が均一化されるのかどうかを確認するため、傾斜台を使った簡易な模型を用いて傾斜実験を行った。実験の結果、一応の傾向が見られたのでここで報告するものである。 |