複合構造委員会では平成22年6月にFRP複合構造研究小委員会(H208小委員会)を設置し,土木構造用FRP部材の材料係数等の部分安全係数,素材・部材の試験評価方法,さらにはFRP構造物の開発動向と形式・材料毎の特徴の整理などについて調査研究に取り組んだ.本報告ではこのうち,材料係数および素材・部材の試験評価方法に関する研究の主要な成果をとりまとめて報告するものである。 FRP部材の圧縮特性に関する材料係数の検討については,チャンネル形FRP引抜成形部材の様々な位置から切り出したクーポンについての圧縮試験(JIS K 7018方法3)を実施し,部位によるばらつきの程度を評価するとともに,材料係数の試算を実施し,1.30との結果を得た.また試験方法によるばらつきの相違についても知見を得た.また,チャンネル形FRP引抜成形部材の長柱部材の圧縮試験(両端部ピン支持)を実施して,部材としての圧縮特性の評価を実施した.さらに,FRP部材の簡易な圧縮特性評価方法として,短柱部材の圧縮試験による方法を考案して試み,その挙動を把握するとともに,長柱部材の圧縮試験との比較を実施した。 FRP部材の引張特性については,チャンネル形引抜成形部材の様々な位置から切り出したクーポンの引張試験(JIS K 7161およびJIS K 7164)を実施し,切り出し部位による引張特性の違いや材料係数について検討した.引抜方向の引張試験結果をもとに材料係数を試算した結果,1.15~1.24という値が得られた。 |