地すべりの機構解析や対策工の計画において、すべり面位置の特定は重要であり、ボーリング調査や機器による変位観測等の結果を基にして総合的に判断がなされている。しかし、調査期間中の変位が明瞭でない場合などは、コア観察による判定に重点が置かれることとなる。コア観察による判定では、採取されたコアの表面における色調、亀裂、風化状況、粘土層、コア内部の鏡肌、条痕、木片の混入等を観察して総合的に判断している。 地すべり地においては、土塊が強く破砕を受けていることや、すべり面粘土等の軟弱層が存在していることから、従来は切れ目のない高品質なコアを採取することが難しかったが、近年は採取技術が向上し、すべり面や地すべり土塊でも高品質なコアが採取されるようになっている。一方、コア観察については、従来からコア表面かコアを割って鏡肌等を観察することが行われているが、コア表面は曲面であり、採取時に乱されている部分もあることから、コアの品質を生かした情報を充分に引き出せていないのではないかと思われる。 本研究では、コア観察の手法として樹脂固定すべり面標本の観察を行い、その結果を基にしたすべり面の認定方法について検討した結果を報告する。 |