本研究は、地震による地すべりの発生危険度を評価する目的で、既存地すべり地形を対象に地形要素に注目しロジスティック回帰分析を実施したものである。解析では、中越地震と岩手・宮城内陸地震によって発生した地すべりデータを用いた。本研究では説明変数として、地すべり地形の起伏量(地すべり地形における標高差の最大値)、縁辺侵食率などの地形要素を用いた。中越地震によるデータの解析では予測的中率が74.7 %であった。中越地震のデータの分析から得られた偏回帰係数を用いて、岩手・宮城内陸地震による地すべりの発生を予測した結果77.2 %が的中した。このように、地すべり地形の起伏度と縁辺侵食率が地震による地すべりの発生に寄与していることが検証された。このため、中越地震と岩手・宮城内陸地震により地すべりが発生した116 箇所の既存地すべり地形とランダムに選んだ同数の地すべり非発生既存地すべり地形データを用いて、再度分析を行った。その結果、予測的中率が75.4 %となり、中越地震のデータのみによる結果に比べて幾分上昇した。このように、ロジスティック回帰分析により、地震による地すべりの発生危険度評価が可能であることが示された。 |