塩害やアルカリ骨材反応、凍結融解、中性化などのコンクリートの劣化要因は、いずれも表面からの劣化因子が浸透し、拡散することに起因している。この劣化因子の浸透を防ぎ、コンクリートを保護する方法として一般的に表面被覆工法(以下、塗装と呼ぶ)がある。しかし、塗装を行うには、異なる性質をもった塗料(プライマー,パテ,中塗り,上塗りなど)を複数回塗装する必要があるため短期間による補修/対策が難しかった。近年、シラン系やシロキサン系を主成分としてコンクリートの表層に浸透させてコンクリート表層を改善させる浸透性コンクリート保護材(以下、保護材と呼ぶ)が開発された。これらの保護材は、比較的に安価で簡便に施工できることから容易に塗装ができないところへの対策として着目されるようになった。しかし、これらの保護材にはその性能を評価する試験方法が確立されていないため土木研究所と民間8会社《旭化成ワッカーシリコーン(株)、アトミクス(株)、関西ペイント販売(株)、ダイキン工業(株)、大同塗料(株)、大日本塗料(株)、中国塗料(株)、日本ペイント(株)》で浸透性コンクリート保護材研究会を結成し、屋外暴露試験(最長8年間)および室内試験を実施してきた。本報告では、本研究会で行った試験結果に基づいて保護材に適した試験方法に提案するものである。 |