地すべり対策においては、すべり面位置の特定が重要であり、ボーリング調査や機器計測によって調査されている。近年、ボーリング技術の向上により、これまで採取が困難であったすべり面や地すべり土塊からも高品質なコアが採取可能になってきた。そのため、破砕・変形構造が生じているすべり面を詳細に観察・分析することで、すべり面の特性を明らかにし、すべり面の調査技術や特定精度を高めることが重要である。すべり面の微細構造を観察するためには、脆いすべり面付近のコアを樹脂等で固定した上で切断・研磨した標本(樹脂固定標本) を作製し、採取時の乱れが少ないコア内部を観察することが効果的である。地すべり滑動によってすべり面付近に破砕・変形構造が生じていれば、この方法で明瞭に観察できる。土木研究所地すべりチームでは、平成22年から平成23年にかけてハイテック株式社、株式会社高知地質調査、株式会社地圏総合コンサルタント、応用地質株式会社、株式会社建設技術研究所との共同研究「すべり層のサンプリングと認定方法に関する研究」を実施し、樹脂固定標本を用いたコアの微細構造分析手法とすべり面の認定手法について検討を行った。その結果として、樹脂固定標本を用いた微細構造分析のための標準的な観察項目を提案した。また、すべり面認定の確度を向上させるために、従来から行われてきたコアによるすべり面の認定に加えて、すべり面の特徴的な微細構造もあわせて認定根拠とすることも提案した。なお、詳細については共同研究報告書を参照して頂きたい。 |