河川は、数多くの源流から流れ出た水が合流を繰り返すことで徐々に水量が多くなり、最終的には一本の河川となって海へと流れ込む。このような流域における河川の構造は樹状構造と呼ばれ、水系ネットワークを形成しているわけである。河川における魚類群集は、上流から下流にかけて種数が増加し、その種構成も変化していくことが知られている。また、同じ河川サイズを持つ支流間でも魚類群集に違いがあることが知られており、合流点からの距離や合流する河川サイズによって異なることが報告されている。 このように水系ネットワーク内において、魚類群集は様々なパターンを示すことが示されている。しかし、多くの研究は流域内の一部だけに注目したような局所的なものである。また、上流から下流までを扱った研究についても、ひとつのラインとして扱える河川を対象としたものが多い。そのため、流域全体に渡って樹状構造を形成する水系ネットワークを扱った研究は非常に少なく、流域全体における河川性魚類のパターンに関する知見は非常に乏しい。 そこで、本研究では濃尾平野を流れる揖斐川、長良川、木曽川の木曽山川を対象に、流域全体にわたる魚類群集のパターンを明らかし、水系ネットワークと言う特徴的な構造に注目することで、得られたパターンをもたらすプロセスを解明することを目的とし、研究を行った。 |