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発表 河川におけるシルトの堆積が付着藻類-藻類食者間の相互作用に及ぼす影響

作成年度 2012 年度
論文名 河川におけるシルトの堆積が付着藻類-藻類食者間の相互作用に及ぼす影響
論文名(和訳)
論文副題
発表会 日本陸水学会第78回大会
誌名 日本陸水学会第78回大会
巻・号・回 78
発表年月日 2013/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター森照貴
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター, (株)建設環境研究所加藤康充
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター, 応用地質(株)高木哲也
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター小野田幸生
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター宮川幸雄
抄録
河川生態系において、生食連鎖を支える主な生産者は河床礫に生育する付着藻類であり、この藻類をアユやヒラタカゲロウ類、ヤマトビケラ類など多くの生物が餌資源として利用する。これまでに付着藻類と藻類食者は相互に影響を及ぼすことが多くの研究によって示されてきた。光や栄養塩の増加は付着藻類の生産量や現存量の増加を介して、藻類食者の密度や体サイズに正の効果をもたらす。一方、藻類食者の群集構造や密度が変化することで、付着藻類の種組成や現存量に影響が及ぶことが知られている。 河川において濁水の流下は、規模や頻度、継続時間は様々であるが、必ず発生する現象である。発生要因としては、自然に生じる土壌浸食や土石流、地滑り、河岸崩壊による細粒土砂の流入だけでなく、農地や森林伐採の跡地、鉱山や道路などの建設活動、河道改修といった人間活動によっても生じる。こうした自然的・人為的要因によって発生した濁水には、シルトなどの浮遊性の無機物が多く含まれる。粒径の非常に小さなシルトなどは、沈降速度が遅いために、流速が遅く、乱流が発生しがたい場である淵や河岸などに堆積し、流速の速い瀬などでは、あまり堆積することなく流下すると考えられていた。しかし、シルトや細砂が付着藻類の分泌する粘質物と結合することで、数μmの小さな粒子でさえも付着藻類により補促されることが示されている。 これまで、付着藻類と藻類食者の相互関係が光条件や栄養塩濃度などの環境要因の変化に応じて、どのように変化するかについて検証が行われてきた。しかし、河川において必ず発生する濁水に関して、付着藻類や藻類食者に対する個別の影響について検証が行われているものの、付着藻類-藻類食者の相互作用については知見が少ないのが現状である。そこで本研究では、濁水の発生が、付着藻類-藻類食者間の関係性にどのような影響を及ぼすのか、シルトの堆積に注目して検証を行うことを目的とした。
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