国立研究開発法人土木研究所

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発表 水生動物を用いた“川の健康診断”:全国および地域スケールでの試み

作成年度 2012 年度
論文名 水生動物を用いた“川の健康診断”:全国および地域スケールでの試み
論文名(和訳)
論文副題
発表会 日本生態学会第60回大会
誌名
巻・号・回
発表年月日 2013/03/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
赤坂卓美
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター森照貴
竹川有哉
石山信雄
井上幹生
抄録
河川生態系は、人類により最も改変された生態系の一つである。実際、我が国においても、ほとんどの河川がダム、流路の直線化、氾濫原の喪失など、何らかの人為的影響を受けており、その結果、多くの水生動物が減少している。このような状況下において、生物多様性の保全は、最小限のコストで効率的に行っていくことが欠かせないが、その施策はほとんど行われていない。野生生物の保全を考える際、国立公園などの保護区は、本来、野生動物の生息場を保全する機能を有するため重要な場所となる。しかし、我が国において実際にどれだけの種が保護区によって保全できているのかは明らかにされていないのが現状である。 本発表では、まず、全国および地域(北海道など)の2つの空間スケールにおいて、RDB記載種(全国は環境省RDB、地域は環境省および地方版RDB)を対象に相補性解析を用いて、効率的に保全する際に重要な場所(保護区候補地)の選定を行った。次に、保護区候補地となる場所の特性について検討した。また、保護区候補地と既存の保護区間でGap分析を行い、既存の保護区の果たす機能についても検証した。 この結果、候補地は、両空間スケールとも農地および都市などが周囲に優占する下流域に多く存在した。また、既存の保護区は、ほとんど機能していないことが窺えた。これらの結果は、今後の水生動物の保全を行う際には、これまでのような人間活動とのすみ分けという考え方ではなく、利用しながら保全する新たな仕組みが求められることを示唆する。本発表では、上記の内容に加え、生態系の現状評価についても議論する。
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