コンクリート再生路盤材からは微量の六価クロムが溶出することがあり、舗装再生便覧(平成22 年度版)では、溶出の程度の確認が推奨されるようになっている。これに対し、還元物質を添加混合することにより六価クロムを三価クロムに還元処理する溶出抑制技術も開発され、対応も進んでいる。六価クロムを分析する場合、通常は「JIS K 0102:2008 工場排水試験方法」の65.2 に定められているいくつかの方法の中の一つで行う。この中のジフェニルカルバジド吸光光度法(以下、DC 法という)は、六価クロムを選択的に測定することができ、感度も優れているため現在では環境試料の分析に広く用いられている。しかし、還元物質の共存下においては分析操作の途中で還元がおき、六価クロムの定量は困難となっている。またDC 法以外での測定方法としていくつか挙げられているが、どれも分析操作中に還元が起こる可能性が高く、還元物質共存下での六価クロム溶出濃度を測定するのは困難である。このように、現状では還元物質共存下で六価クロムを分析する定まった方法はなく、コンクリート再生路盤材の六価クロム溶出抑制技術を評価するために、還元物質共存下における六価クロム分析技術の確立が求められている。そこで、本研究ではこれまで困難であった還元物質共存下での六価クロム溶出濃度の定量を可能とする新しい分析方法の開発を行った。 |