鋼構造物塗装のライフサイクルコスト(LCC)を削減するためには、耐久性に優れた重防食塗装系を適用して塗り替え間隔の長期化が有効であるが、従来から適用されている一般塗装系(鉛系さび止め塗料/長油性フタル酸樹脂塗料中・上塗や、鉛系さび止め塗料/塩化ゴム系塗料中・上塗の塗装系)に比べて初期コストが高くなる問題があった。重防食塗装系を普及させるためには、それに係わるコストを削減することが不可欠である。このため、独立行政法人土木研究所と塗料メーカー5社(関西ペイント株式会社,神東塗料株式会社,大日本塗料株式会社,中国塗料株式会社,日本ペイント株式会社)で鋼橋塗装のコスト削減方法に関する共同研究を実施した。塗料メーカーより提案のあった塗装コストを削減するために開発した新規塗料を用いた塗装系について、塗膜性能試験、耐久性試験、及び塗装方法の検討を行った。コスト削減のための塗装系の塗装方法、および、これら塗装系塗膜の耐久性を把握するために、橋梁模擬試験体を用いてエアラップエアレス静電塗装法での施工性試験を行った。施工性試験と暴露4年経過した塗膜の調査結果は既に報告を行っており、施工性試験では、新規塗料は規定膜厚に塗装ができ良好な仕上がり外観が得られことが確認できている。暴露試験は、その後も試験を継続しており、本報では新規塗料を用いたコスト削減塗装系の8年目までの耐久性評価結果について報告する。 |