建設省土木研究所(現(独)土木研究所)は科学技術振興調整費による「海洋構造物による海洋空間等の有効利用に関する研究」の分担課題として、「海上大気部の長期防錆型塗装技術に関する研究」を1984年から5カ年計画で実施し、その一環として設置された海洋技術総合研究施設(駿河湾)を利用した暴露試験を実施した。5カ年計画終了後も土木研究所、(一財)土木研究センター、(一社)日本鉄鋼連盟、(一社)プレストレスト・コンクリート建設業協会は「海洋構造物の耐久性向上技術の開発」に関する共同研究として研究を継続している1)。本共同研究のうち、塗料に関する研究は土木研究所と(一財)土木研究センター(研究実施には大日本塗料(株)、関西ペイント(株)、日本ペイント(株)が参加)で構成する第三分科会で実施している。第三分科会では、海洋技術総合研究施設の本体および最上階に設置された暴露架台を利用して、1984年当時の重防食塗装系や当時新規塗料であったふっ素樹脂塗料を上塗りとした塗装系等について、飛沫干満帯から海上大気部にわたる種々の腐食環境下における長期耐久性について毎年定期調査を行い、20年間の長期暴露試験データをまとめ報告している2)。 第三分科会では鋼道路橋塗装・防食便覧(平成17年12月(社)日本道路協会発行)3)に記載されている塗装以外の各種防食工法(耐候性鋼材、溶融亜鉛めっき、金属溶射)の新設仕様、およびこれらが劣化した際の塗装による補修仕様の耐久性を見極めるため、またライフサイクルコスト(LCC)評価の指標を得るために、新たに平成17年より海洋総合技術研究施設および静岡県富士宮市にある土木研究所朝霧環境材料観測施設における暴露試験と、実験室における促進劣化試験を実施している。本報ではこれらのうち、暴露7年目までの追跡調査結果について報告する。 |