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発表 河川性底生動物が持つ生態系サービス:藻類食者がシルトの堆積した付着藻類に及ぼす影響

作成年度 2012 年度
論文名 河川性底生動物が持つ生態系サービス:藻類食者がシルトの堆積した付着藻類に及ぼす影響
論文名(和訳)
論文副題
発表会 応用生態工学会第17回大会
誌名 応用生態工学会第17回大阪大会
巻・号・回 17
発表年月日 2013/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター森照貴
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター, 応用地質(株)高木哲也
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター, (株)建設環境研究所加藤康充
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター小野田幸生
独立行政法人土木研究所水環境研究グループ自然共生研究センター宮川幸生
抄録
生態系機能や生態系サービスは、生物群集の構造に依存して大きく変化する。河川生態系においても、一次生産機能と河床礫に付着する藻類(付着藻類)の群集が関係することや、落葉分解機能と水生昆虫などの底生動物の群集が関係することが示されてきた。そのため、水質や流量の人為的な改変が、生物群集だけでなく生態系機能にまで影響が波及し、その機能の変化に応じて、他の群集にまで影響する可能性が指摘されている。 河川生態系における人為的な影響として、貯水ダムの存在が挙げられる。貯水ダムは生物の移動阻害や流量レジームの改変だけでなく、土砂の流下を阻害する。そのため、ダム下流域では流水によって動きやすい細粒土砂の欠乏が観察されており、生態系への様々な影響が報告されている。その中でも、砂や小礫などを巣材として利用する携巣性トビケラなどの底生動物は、細粒土砂の欠乏の影響を受けやすく、ダム下流域において消失することが多い。 ヤマトビケラ(Glossosoma)は、上流から中流にかけて存在する代表的な携巣性トビケラであり、付着藻類を主な餌資源として利用する。河川における藻類食者は、付着藻類に対してトップダウン効果を発揮することが多く、付着藻類の現存量や種組成を決める主要な要因である。ヤマトビケラは藻類食者の中でも、比較的、高い密度で生息していることが多く、多くの河川で付着藻類に対して影響を及ぼしていることが報告されている。そのため、ダム下流域などにおいて、ヤマトビケラが消失することで、トップダウン効果も消失し、付着藻類に様々な影響が及ぶものと考えられる。ダム下流域では、付着藻類の現存量が高く、シルトが堆積していることが多いが、これはヤマトビケラによる摂食機能が失われ、付着藻類に対して、シルトなどの浮遊する微細無機物の補促・堆積が進んだためと考えられる。そこで本研究では、ヤマトビケラのような藻類食者の消失が、付着藻類に対してどのような影響を及ぼすのかについて、付着藻類の現存量だけでなく、シルトなどの無機物量に注目して、検証を行う。
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