盛土といった土構造物の性能はその密度に強く依存し、その性能を向上させるにはよい土をよく締め固めることが基本である。「道路土工-盛土工指針1)」や「河川土工マニュアル」(以下マニュアル)においては、幾度かの改訂を経て締固め度Dc90%以上を施工管理の一つの目標とし、土質に応じて空気間隙率Va 管理が選択可能となっているが、公共土木工事で一般に使用される「品質管理基準及び規格値」は、土質によらずDc85%以上(砂置換法の場合)が目安となっている。これは、以前は十分な転圧能力を有した機械を準備することが困難であった、日本各地には種々の土質が存在するが土質によっては高い締固め度を発現させることが困難であった、多くの場合この締固め度で問題が生じなかった、ことなどが理由として挙げられる。しかし2011 年東北地方太平洋沖地震を契機に、今後想定される首都直下地震や南海トラフを震源とする大規模地震に対すべく、土構造物においてもその性能向上が求められている。本報では、過去3 箇年分の全国で施工された河川土工の施工管理記録等を収集し、河川堤防盛土における締固め度もしくは空気間隙率の現況を把握するとともに、締固め度管理基準値等に関する考察を行った。 |